シカゴ・ストリートギャング/ヴァイス・ローズ
 
 
 
・概要
 ・組織構造
 ・階級
・歴史
 ・黎明期
 ・CVL INC
 ・1980年代以降
・各支部の概要
 ・コンザヴァティブ(ヴァイス・ローズ)
 ・アンノウン
  ・ダーティ・アンノウン
 ・インペリアル・インセーン
  ・マフィア・インセーン
  ・インセーン
 ・トラヴェリング
  ・アウトロー・ルナティック・トラヴェリング
 ・アンダーテイカー
 ・エボニー/ギャングスター・ストーン
 ・スパニッシュ
・シカゴ市外
・フォー・コーナー・ハスラーズ(4CH)
・参考文献
 
 
 
 
 
・序文
 本文はシカゴ第二のストリートギャングであるヴァイス・ローズ(オールマイティー・ヴァイス・ロード・ネーション)の全体像を簡潔にまとめたものである。

 シカゴ及び中西部の暗黒街に対する理解を深めることを目的としたものであるので他州のヴァイス・ローズ支部には細かく目を配れなかったが、彼らはLAのクリップス/ブラッズ同様にその州の暗黒街の文脈で説明した方が良いと思うので、当該州について書くことがあればもう少し詳しく書きたい。
 
 
 
・概要
 1950年代にシカゴで結成されたヴァイス・ローズは、1万人以上のメンバーを持つとうわさされる黒人中心のストリートギャングである。
 
 
・組織構造
 ヴァイス・ローズはクリップス、ブラッズ、GDなどと同じく各ギャングの連合体であり、その組織自体はやはりピラミッド、あるいは台形型の単純な構造をしている。

 ここでちょっと分かりやすく説明すると

 例えばこの記事
https://www.usatoday.com/story/news/2017/03/24/chicago-nabs-dozens-traveling-vice-lords-gang-linked-coke-meth-and-heroin/99596012/
に出てくる「a violent faction of the Traveling Vice Lords street gang known as the “Cali Boys,”」
をあえて日本風に表現するならば

 一次団体:ヴァイス・ローズ
 二次団体:トラヴェラーズ(トラヴェリング・ヴァイス・ローズ)
 三次団体:カリ・ボーイズ

 となる。

 ただし日本のやくざ社会と違い一次団体の統合本部は機能しておらず、この場合実体を伴った犯罪組織としては二次団体のトラヴェラーズからが始まりとなり、そして末端のメンバーからの麻薬売り上げ金の上納はそこで止まることとなる。
 
 
 これはLA発祥のクリップス/ブラッズでも同じで、例えばLAの51th・ストリート・ヴァン・ネス・ギャングスター・ブリムズは

ブラッズ/ブリムズ/ヴァン・ネス・ギャングスターズ/51th・ストリート

 であるが、ブラッズ/ブリムズに強力な本部がないのでおそらく上納金がVNGから上に行くことはない。

 重犯罪にかかわるアメリカのストリートギャング全体について言えることだが、青少年の不良グループから発展したものなので「名前を無料で使わせる」ことに抵抗がないものと思われる。
 当然ながらギャングを維持するための会費(dues)も各セット内にとどまっているようで例えばメンフィスのTVLの場合は1人週5ドルであり、そこから保釈金や仲間の家族に靴を買ってやるなどのための雑費を工面するという。

 また実質的にあるギャングを抜けながら元のギャング名を名乗り続ける存在である「レネゲード・セット」については説明が困難だが、これはいわゆる「神戸山口組」を想像してもらうと分かりやすい。
 シカゴのストリートギャングは往々にして利害とともにギャング哲学を共有しているために、比較的「セットは抜けたがギャングは抜けていない」ことを正当化しやすいのだろう。
 
 
 
・階級
 設立間もない1960年代にはシニア、ジュニア、ミジェット(ピーウィー)の3つしかなかったが、1980年代になると各支部のトップはシュープリーム・ユニヴァーサル・ファイブ・スター・エリート(キング、シュープリーム・チーフ)など独自の呼称を使い始める。

 司法大臣(minister of justice)など様々な肩書があるが、大まかな図では以下のようになる。

   ファイブ・スター・エリート
    |
   スリー・スター・エリート
    |
   ソルジャー
 
 
 またピープル・ネーションに共通して使用される五角星は、ブラック・P・ストーンズに由来するものであるが、時計回りにそれぞれの角が愛、平和、真実、自由、正義を象徴する。
 BPSはアメリカン・イスラームの一派ムーア人科学寺院の影響を受けているために何らかの宗教思想がヴァイス・ローズにも伝わったものと思われるが、こういった思想面はここでは深く追及しない。
 
 
 ヴァイス・ローズはまた長大な誓約(oath)も持つが、「ローディズムはヴァイス・ローズの宗教である」「(ヴァイス)ロードは真実の探求者である」といった宗教的、哲学的な教示が大半であり、犯罪社会学の分析対象になるようなものは筆者には荷が重いのでやはり細かい言及は避けたい。

ゲイローズのサイト
http://www.stonegreasers.com/greaser/vicelords.html
で「Free and Accepted Almighty Minister」であるジム・アレンへのインタビューがあるのでそちらを参照してほしい。
 
 
 以下はおそらくウイリー・ロイド著の「ローディズムの統合秩序(The Amalgamated Order of Lordism)」からの抜粋であると思われるが詳細は不明である。
「vice lord lit」
https://thehoodup.com/board/viewtopic.php?t=39355
 
 
 
 
 
・歴史

・黎明期
 第二次世界大戦後のシカゴ都市部では、人種差別的な言辞で白人から住居を安く買い黒人に高く売る「ブロックバスティング」による黒人人口増加とともに、白人、ラテン系のみならずに黒人青少年の間でもギャングが発生し始めていた。

 その中の一つであるインペリアル・シャンプレインズは、シカゴ最古の黒人ストリートギャングであるエジプシャン・コブラズの分派として1948年にノース・ローンデールで生まれる。
 両者は共に地区の人種差別的なユダヤ人青少年と戦う一方で、同じ黒人同士でも互いに激しく争いあい、地区の荒廃とそれによる旧来の白人の郊外への脱出に一役買っていた。
 
 
 1957年業を煮やした警察の一斉摘発によってエドウィン・マリオン・「ぺピロ」・ぺリーが逮捕され、セント・チャールズ少年感化院に送られる。

 ぺピロはそこでシャンプレインズとクローヴァーズのメンバーを集め新ギャングを結成する構想を練り、レオナルド・キャロウェイ、モーリス・「キング・バルディ」・ジャクソン、ボビー・ゴアなどが参加、コンザヴァティブ・ヴァイス・ローズが設立されることとなった。
 
 
・拡大
 出所したぺピロとヴァイス・ローズは瞬く間に勢力を拡大し、1960年代を迎えるころにはさらに大きな犯罪に手を出そうとしていた。
 彼らは他のギャングと違い軍隊的な組織構造を持っていたため、抗争では優位に立っており、その強硬な態度は敵味方多くのギャングに影響を与えることになったという。

こうしてヴァイス・ローズはシカゴ最大のギャングとなり、1964年にはウエストサイド中心に28のセットに1万人のメンバーがいたと言われている。

 しかし20代半ばになっていた古株のメンバーはこの時期から引退し始め、ぺピロもアルフォンス・アルフォードにリーダーの座を譲っている。
 この時にボビーゴアが副リーダーに選ばれ、弁の立つ彼はギャングのスポークスマン的存在になっていく。

 そして1966年の人種暴動を機に、残されたメンバーは新たな道を模索してゆくことになる。

 また1960年代後半のこの時期に、キャロウェイの従弟であったユージーン・ヘアストンが設立し後にジェフ・フォートが引き継いだブラックストーン・レンジャーズ、ラリー・フーヴァーのブラック・ギャングスター・ディサイプルズなど現在まで続く他の巨大ギャングも組織され始める。

 1970年にはデウィット・ビアルによってドキュメンタリー「Lord Thing」が製作されている。
  
  
・CVL INC
 1967年に、前年のような暴動の再発を恐れた区議会と警察がレストラン事業への資金援助を餌にヴァイス・ローズにギャング活動の自粛を要請する。
 ヴァイス・ローズはまた弁護士デヴィッド・ダウリーの助けもあって政府からの補助金を獲得し、CVL INCとして互助団体への道を歩もうとして、かつての仇敵と休戦し政治団体LSD(ローズ、ストーンズ、ディサイプルズ)まで結成している。

 しかし若手メンバーはこれをこころよく思わず、またCVL INCの合法的事業も経済への無知により行き詰り、多くのギャングがそのころ盛んになっていたヘロイン取引へ手を染めていった。

 1969年ボビー・ゴアが殺人罪で逮捕され、翌年には25年から40年の刑を宣告される。
 同じころシカゴ市長デーリーがストリートギャングに対して宣戦を布告し、その主なターゲットはブラック・P・ストーンズであったが、ヴァイス・ローズも標的となる。

 政府からの資金援助が途切れ、さらにゴアの逮捕ととも多くのベテランメンバーが引退したことによって、強力な指導者層を失ったヴァイス・ローズは、権力の空白を巡って分裂し始め、緩やかな繋がりの連合体への変化を余儀なくされることとなる。
 
 
・1980年代以降
 1978年にGDのラリー・フーヴァーが人種を超えた同盟であるフォーク・ネーションを設立、ヴァイス・ローズは対抗するためにブラック・P・ストーンズ、ラテンキングスなどと各人種の有力ギャングと協力しピープル・ネーションを組織し、シカゴの暗黒街は二大同盟が対峙しにらみ合う新たな時代へと突入した。

 一方超長期刑を宣告されたボビー・ゴアであったが、実際には11年服役して出所し、ヴァイス・ローズから新たなキングとして迎えられる。
 しかし組織がドラッグディーラーの集まりに堕していると見たゴアは就任を拒否しギャングを引退する。
 これにより1980年獄中のミニスター・リコがヴァイス・ロード・ネーションのキングとなり、多人種受け入れの新方針を発表し、スパニッシュ・ヴァイス・ローズが設立された。

 しかし各支部の結束は弱まる一方で、支部内での争いが絶えず、ヴァイス・ローズという単体のギャングはもはや存在しなくなっていた。
 
 
 
・各支部の概要
 前述のようにヴァイス・ローズは連合体であり、支部(faction)は強い独立性を持っている。
 基本的には他ギャングと対立しているが、内部でのいさかいも多く、悪名高い内紛にはトラヴェラーズ対アンノウンズ、ウエストサイドでのマフィア・インセーンズ対アンダーテイカーズなどの抗争がある。
 
 
・コンザヴァティブ
 名目上は全ヴァイス・ローズのキングであるミニスター・リコが服役中であるために、1980年後半からコンザヴァティブズはエルバート・「ピエール」・マホーンに指揮されていたが、2000年にニュー・ブリーズに殺害され、ケネス・「シャイン」・ショルダーズが後を継いでいる。

 ヴァイス・ローズ最古の支部ではあるが、高位の幹部たちのブルーワーカー的、プレイヤー的な「保守的」服装から年少者からは古臭いと敬遠されるきらいがあるという。
 長年の宿敵GDのみならず、ほかにも様々なギャングともめ事を抱え、カブリニ-グリーン・プロジェクトでのミッキー・コブラズとの抗争はとくに有名である。
 
 
 ショルダーズは2013年に12th・ストリート支部のメンバーにウエストサイドの「ヘロイン・ハイウェイ」地区での麻薬取引のキー・プレイヤーであることを密告され、翌年に逮捕されている。

 引退したボビー・ゴアはコミュニティ・ワーカーとして活動し2013年に死去、ミニスター・リコは2015年に釈放され、現在は反暴力運動に関わっている。
 
 
 
・アンノウン
 1951年生まれのウイリー・ロイドによって1960年代後半に設立された。
 ロイドは1971年に州警察官殺害の容疑で有罪になり15年服役するが、獄中で行動指針である「ローディズムの統合秩序(The Amalgamated Order of Lordism)」を著し、1980年代後半からはヴァイス・ローズのスポークスマン的な役割を務めてきた。

 ロイドは1988年に武器の違法所持で収監されたのち、1992年に出所すると部下に麻薬の売上金の上納を要求するが、不在の間組織の拡大に努めてきた「ベイビー・タイ」タイロン・ウイリアムズはこれに反発し両者の関係は悪化、ロイドによるウイリアムズ弟の誘拐後は抗争状態となる。

 しかしウイリアムズはアイゼンハワー高速道路での銃撃により、ロイドの方は違法に武器を所持したとして共に服役、一か月後に100名以上の部下も摘発され、数名の犠牲者を出したものの抗争自体はお預け状態となった。

 ロイドは2001年に釈放後はギャングから引退し反暴力活動に関わっていたが、2003年に何者かに撃たれ首から下が麻痺状態になってしまう。
 しかし彼は襲撃者を証言せずに、ミネソタに移住し2015年に64歳で死去する。
 
 
 ロイド銃撃後は、2003年からデリック・「ダック」・ジョンソンが指揮を執っている。
 彼はウイリアムズ派であったダーティ・アンノウンズを再び取り込み、長年の根城であるガーフィールド・パークの「ゴーストタウン」での地位を盤石のものとしているようである。

 2009年には4CHの最高幹部と目されるレイモンド・ワシントンを殺害している。
 
 
 
・インペリアル・インセーン(IIVL)
 前述の古参ギャングインペリアル・シャンプレインズは、1960年代にヴァイス・ローズに吸収されており、インペリアル・ヴァイス・ローズと改名している。
 1970年代にはさらにインセーンズ合併によりインペリアル・インセーン・ヴァイス・ローズと名を改める。

 1975年から81年までリーダーであったシドニー・ヒューズ、1981年から2002年までのマシュー・「DJ」・ウイリアムズの時代を経て、その後は3人のユニヴァーサル・ファイブ・スター・エリートによる三頭政治が敷かれている。
 ジョセフ・フォークナー、アンソニー・ペティグリュー、サミー・ホッジスの3人である。

 2013年に20年以上にわたる麻薬密売の罪を問われて30人以上が逮捕されている。

 2015年にキングであったナサニエル・ホスキンスが4CHメンバーへの殺人教唆で逮捕されている。
 警察発表によるとホスキンスは250名の部下を持ち、シカゴ市内のほかにネヴァダでの違法薬物取引からも利益を得ていたという。

 ホスキンスは父親がおらず、面倒を見てくれる年長のメンバーに誘われてヴァイス・ローズに入ったという。
 1990年代初頭に殺人罪の容疑から逃れるために一端はラスベガスに移りギャングの世界からは足を洗ったが、2000年代中盤になって捜査が打ち切りになり、さらにあるキングが死んだことをきっかけにシカゴに戻り麻薬密売を再開している。

 その後はジョセフ・フォークナーが後を継ぎキングとなっている。
 彼はウエストサイドで15年以上麻薬取引に携わり、時には1日に2万から3万ドル稼ぐこともあったという。
 
 
 
・マフィア・インセーン・VLs(MIVL)
 最古のインセーンズであるセントラル・インセーン・VLsのトロイ・マーティンによって矯正施設内で組織された。
 トロイの目的はヴァイス・ローズ内のインセーンズをギャング内で一つの「ブリック」あるいは「王朝」へとまとめ上げる事であったが、しかしそれはシセロ・インセーンズのキング・ビーンことマーティン・ロケット、インペリアル・インセーンズの「DJ」ウイリアムズなどの年長リーダーたちに拒否されてしまう。
 とはいえマフィアズは順調に成長し、現在ではヴァイス・ローズ第三の支部であると目されている。

 2000年代前半に4CHとの抗争に突入したほか、コンザヴァティブズ、アンダーテイカーズとも戦い、ブラック・P・ストーンズ及びミッキー・コブラズとも争っている。

 2005年までキング・トロイ・マーティンがリーダーであったが、終身刑の宣告を受けて身を引いている。

 2010年代現在MIVLはウエスト・ガーフィールド・パーク及びオースティン地区にまたがる「ダークサイド」、オースティンからノースアヴェニューのかけての「デスロウ」を根城とし、
後者を本拠地としている。
 
 
・インセーン
 高名なベニー・リーが指揮していたが、1990年代前半にリトル・ティムが後を継いだ時にはすっかり弱体化していた。
 シカゴでは2000年代前半には消滅したが、イリノイ州外にはいまだにインセーンを名乗る者が残っているという。 
 
 
 
・トラヴェリング・ヴァイス・ローズ
 1960年代に結成されたウエストサイドのトラヴェラーズが1970年代前半にヴァイス・ローズに加入したギャングであり、現在でもヴァイス・ローズ第二の支部であり続けている。

 掟厳守の「ソリッド」な支部で、ローンデールにあるヴァイス・ローズの本拠地である「ホーリー・シティ」をコンザヴァティブズと共同で支配している。

 1970年代から1983年に殺されるまでキング・ニール・ウォレスが、その後1997年に殺されるまではキング・ジェームズ・ミルトンが指揮を執っていた。
 1995年にはアンドリュー・「ベイ・ベイ」パターソンなどの有力幹部たち50人以上が逮捕されているが、1990年代後半の新興ギャングラテン・ロイヤルズを巻き込んだGDとの抗争を耐えきっている。
 GD、BDなどのフォーク・ネーションのギャングのみならず、1991年からはピープル・ネーションのギャングや同じヴァイス・ローズの他支部とも激しく対立し、アンノウンズとローンデールで抗争している。

 1999年に逮捕されたイラン系の麻薬密売人ムハンマド・マンスーリは、幹部のテリー・ヤングと親しく、大量の麻薬を彼に卸していたという。

 2006年にはニュー・ブリーズとドラッグ・ターフを巡ってウエストサイドで抗争し、双方合わせて少なくとも19人の死者を出している。
 
 
・アウトロー・ルナティック・トラヴェリング・ヴァイス・ローズ
 2002年にカダフィ、マーダ・ロード、ルチ、テドーの4名によってトラヴェラーズの支部として結成される。キング・ニールの息子ベイビー・ジューンがいたという話もある。
 武闘派で知られていたTVLはこのレネゲード・セットの登場によっていたく評判を傷つけられたという。
 
  
 
・アンダーテイカー
 1970年代にエディー・「ハイ・ニフ」・リチャードソンたちによって、オースティン地区で設立される。
 計37年の懲役を務め、現在では青少年の非行防止活動を行っている元創立メンバーの「ブーニー」によると、葬儀場の近くで結成されたことからこの名前が付き、また葬儀場の窓を割って遺体を凝視するのが入会儀式であったという。
 5つの「世代」に分かれており、それぞれに「キング」を持ち、リチャードソンが「すべてのアンダーテイカーズの王」であった。
 リチャードソンは1984年からウエストサイドでブラウン・ヘロインの取引を盛んに行っていたが、1994年に逮捕されて終身刑を宣告されている。

 アンダーテイカーズは1990年代後半からマフィア・インセーンズと小競り合いを繰り返しているほか、またニュー・ブリーズとも長年にわたって抗争を続けている。
 2002年にメンバーが射殺され、その容疑者であったニュー・ブリーズのダナ・ボスティックの弟が2008年に殺されている。
  
 
 
・エボニー・ヴァイス・ローズ/ギャングスター・ストーン・ヴァイス・ローズ
 ハーレム・マフィア・ヴァイス・ローズとして1960年代にロード・キャスパーによって結成され、1970年代にエボニーの別名を持つようになった。
 名前が示す通りブラック・パワーに強く傾倒していたため、ミニスター・リコが1980年に打ち出した多人種受け入れ政策に強く反発し、ヴァイスロード・ネーションを脱退しエル・ルークンズ/ブラック・P・ストーンズに近づいていった。
 そこで新名ギャングスター・ストーンを打ち出した彼らは、キャスパーがアンノウン・VLsに殺された後はヘンリー・ブラウンをリーダーとして活動するが、BGD/BDとブラック・P・ストーンズの抗争に否応なくかかわっていき、多くのメンバーを失い凋落していった。
 
 
・スパニッシュ
 シカゴ南東部サウス・ディーリングにて、スパニッシュ・コブラズの分派であるキング・コブラズの台頭に反発したラテン系青少年が1980年の人種規約改定によってヴァイス・ローズに迎え入れられて結成したセットである。

 1989年にはメンバーが50人を超え、1994年からはラテン・キングス及びラテン・ドラゴンズとの抗争に突入している。
  
 
 
 その他エクセキューショナー、パープル・ハーテッドなど
 
 
 
 
 
・シカゴ市外
・ミネアポリス

 ミネアポリスのサミュエル・シャリフ・ウィリスは1990年代には反ギャング団体ユナイテッド・フォー・ピースを主宰していたが、同時にヴァイス・ローズのチーフ・ミニスター・オブ・ジャスティスでもあった。
 しかし1995年に違法に銃を所持し数名を脅迫したとして逮捕され、殺人の前科および警官殺人への関与を疑われていたこともあって26年の刑期を宣告されている。
 20年の刑期を務め終わった今は再び反ギャング運動にかかわっている。

サミュエル・シャリフ・ウィリス
http://swanblog.blogspot.jp/2005/09/murders-gangs-and-truth-thirteen-years.html
http://articles.chicagotribune.com/1995-02-21/news/9502220001_1_gang-gambling-dispute-drug-charges
http://www.startribune.com/activists-plan-minneapolis-peace-summit-in-hopes-of-quelling-violence/425557573/
http://news.minnesota.publicradio.org/features/200209/25_williamsb_haaf/
 
 
・デトロイト
 2016年にはアントニオ・クラークがギャングを抜けようとした2人のメンバーとその家族をAK-47で銃撃した罪で20年の宣告を受けている。

 また2015年にはファントムズMCのプレジデントも兼ねていたスリー・スター・ジェネラルのアントニオ・ジョンソンが殺人そのほかの罪で有罪となり35年を宣告されている。

アントニオ・クラーク
https://www.justice.gov/opa/pr/vice-lords-leader-sentenced-20-years-prison-gang-related-shooting
 
 
・メンフィス
 人口60万を超えるテネシー州有数の都市であり、キング牧師が1968年に殺害された地でもあるメンフィスでは1970年代後半から小規模なクルーが現れ始め、1980年代にはGDが到着している。

 1980年代中盤にTVLのジェッティー・ウイリアムズがチャールズ・「カントリー」・トンプソンを伴いシカゴから移住し活動を開始、トンプソンの強面ぶりが物を言い、1990年代には400人以上のメンバーを持つ麻薬組織に育て上げていた。

 1993年に元恋人のFBIへの密告を疑ったトンプソンは彼女の居場所を知るためにその弟を監禁し暴行するが弟は口を割らず、口止めの脅迫にも失敗し、トンプソンは通報された9か月後に逮捕される。

 トンプソンは1998年に刑務所内からストリートでの刑務官の殺害を指示したとして第一級殺人で有罪となり、保釈なしの終身刑を宣告される。

 この後TVLは分裂し、GD相手だけではなく仲間内でも抗争を繰り返すようになる。
 
 
 同じく1998年にやはりシカゴから移住してきたロナルド・「ビッグ・ポーク」・テリーは、アンノウン・ヴァイス・ローズに入ると瞬く間にリーダーとなり、南メンフィスを仕切るようになる。
 トンプソン逮捕を聞き混乱状態のメンフィスを丸ごといただこうとしたという噂である。

 彼の野望は南部全体を取り仕切る最高幹部になることであったが、2006年には殺人未遂で収監されている。
 
 
 現在ヴァイス・ローズはユニヴァーサル、インセーン、アンノウン、コンザヴァティブ、そして4CHが存在する。
 2007年時点でTVL単体で500人以上のメンバーを有しており、依然として獄中のトンプソンが指揮を執っているとメンバーは語っている。
 
 
 一方コンザヴァティブズ、別名コンクリート・ストリート・カルテルは東部、北部、南部など市内の広範囲な地域で活動し、2017年には薬局強盗で12人が摘発されている。
 
 
 
ロナルド・「ビッグ・ポーク」・テリー
http://www.wmcactionnews5.com/story/5328094/gang-leaders-explains-anatomy-of-the-gang
コンクリート・ストリート・カルテル
Twelve indicted on charges related to pharmacy robberies
Gangland S07E12「Road Warriors」
 
 
 
 
 
・フォー・コーナー・ハスラーズ(4CH)
 1970年代前半にウォルター・ウィートとフレディー・「マリク」・ゲージによって結成されたギャングである。
 かつてはヴァイス・ローズの一セットであったが、徐々に巨大化した彼らは1990年代後半から独立を主張し始める。
 ヴァイス・ローズとは友好的な関係を保っているものの、現在では分けて考えられることが多い。
 
 
 2013年に最高幹部と噂される「ビッグ・フォー」レイモンド・ワシントンがアンノウンズに殺害されている。
 
 
各セットと2000年代の幹部は以下のとおりである。

・ボディ・スナッチャー       
  「シェーキー」ショウン・ベッツ 
  ドミニク・「フィンボール」・フィンリー
・マフィオーソ           
  レジナルド・「アキーム」・ベリー
・ブラック・インセーン       
  ダーネル・「シンク(Cinque)」・ブライアント
・アンジェロ・マニアック      
  モーティス・レデル・「ホダリ・ジョー」・カー
  かつてのリーダーアンジェロ・ロバーツが殺害されたのち彼をしのんで改名したセット。
・LT                
  ラリー・フォード
・ミレニアム            
  カーティス・「ヌーン」・ヘンダーソン
・レイ・レイ・マカティブ      
  「レイ・レイ」ロングストリート
・グーン・スクワッド        
  ジェローム・「ヘッド」・マーレイ
・スナイパー            
  ルーファス・「ウィーゼル」・シムズ
・バーノン(Barnone)       
  ジョン・「ピーナット」・ウォルトン
・ブレイブハート

レイモンド・ワシントン
https://www.dnainfo.com/chicago/20131010/east-garfield-park/how-we-killed-gang-boss-men-testify-they-fired-30-times-self-defense
やはりchicagostreetgangsから4CHの項
https://web.archive.org/web/20130522180227/http://www.chicagostreetgangs.webs.com:80/fourcornerhustlers.html

参考文献
シカゴギャングヒストリーのヴァイス・ローズの項
https://chicagoganghistory.com/gang/vice-lords/
消滅してしまっているchicagostreetgangs.webs.comのヴァイス・ローズの項
https://web.archive.org/web/20130720021827/http://chicagostreetgangs.webs.com:80/vicelords.html
ネット上で読めるものとしては以上の二つが最も詳細でまとまったものと思われる
本文はこの二文献に全面的に依拠している

1966年のシカゴウエストサイド暴動
https://en.wikipedia.org/wiki/1966_Chicago_West_Side_Riots
https://folkslove.wordpress.com/
デヴィッド・ダウリ―について
http://ivy50.com/blackhistory/story.aspx?sid=3/10/2009
「Free and Accepted Almighty Minister」であるジム・アレンへのインタビュー
http://www.stonegreasers.com/greaser/vicelords.html
thehoodup.com
「Vice Lord History」
https://thehoodup.com/board/viewtopic.php?t=76249
「vice lord lit」
https://thehoodup.com/board/viewtopic.php?t=39355

各支部
「コンザヴァティブ」
ミニスター・リコ
http://www.frostillustrated.com/2015/some-folks-working-to-cure-the-plague-of-violence-in-the-community/
「アンノウン」
ドンディーヴァ・マガジンによるロイド追悼記事
https://dondivamag.com/rip-king-willie-lloyd/
Willie Lloyd: Former Gang Leader of the Vice Lord Nation Dead at 64
「インペリアル・インセーン」
IIVLのキングに終身刑
http://chicago.suntimes.com/news/life-in-prison-for-king-of-the-imperial-insane-vice-lords/
http://www.chicagotribune.com/news/local/breaking/ct-gang-leader-murder-life-in-prison-met-20160512-story.html
フォークナーが新たなキングに
http://chicago.suntimes.com/news/vice-lord-prince-now-in-feds-sights/
「マフィア・インセーン」
キング・トロイの逮捕
http://chicagogangs.org/index.php?pr=NEWS76
「インセーン」
ベニー・リーの経歴
http://gangresearch.net/ChicagoGangs/vicelords/believeitornot.html
「アンダーテイカーズ」
http://caselaw.findlaw.com/us-7th-circuit/1195019.html
アンダーテイカーズ対ニュー・ブリーズ
https://www.chicagoreader.com/chicago/gang-violence-heroin-new-breeds-vice-lords/Content?oid=8761736
http://www.fox32chicago.com/news/crime/140384226-story
引退したブーニーの話
http://www.nbcchicago.com/investigations/Former-Gang-Member-Works-to-Revitalize-Neighborhood-271181791.html
「エボニー・ヴァイス・ローズ」
http://chicagogangs.org/index.php?pr=EVL
「トラヴェリング」
マンスーリの話
http://articles.chicagotribune.com/2005-04-03/news/0504030085_1_drug-money-drug-profits-laundering
http://www.hipwiki.com/Outlaw+Lunatic+Traveling+Vice+Lords

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